東京地方裁判所 昭和43年(特わ)94号 判決 1968年7月20日
本店所在地
東京都中央区日本橋江戸橋三丁目七番地
日米ブラインド工業株式会社
右代表者代表取締役
福岡勇
本籍
東京都中野区大和町四丁目三〇七番地
住居
神奈川県鎌倉市台四丁目八番七号
会社役員
中村達夫
大正八年一一月一九日生
右の者らに対する法人税法違反被告事件につき、当裁判所は検察官上田政夫出席の上審理して次のとおり判決する。
主文
被告日米ブラインド工業株式会社を罰金七〇〇万円に被告人中村達夫を懲役四月に各処する。
但し被告人中村達夫に対し、この裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告日米ブラインド工業株式会社は、東京都中央区日本橋江戸橋三丁目七番地に本店を置き、ベネシヤンブラインドの製作加工販売業を営業目的とする資本金一億円の株式会社であり、被告人中村達夫は、右被告会社の取締役経理部長としてその経理事務全般を掌理していたものであるが、被告人は、被告会社の業務に関して法人税を免れようと企て、期末たな卸の一部を除外したり売上の一部を除外するなどして簿外預金を設定する等の不正な方法により所得を秘匿したうえ
第一 昭和三九年八月一日より同三九年一二月三一日までの事業年度において、被告会社の実際所得金額が四九、五九七、二八四円おこれに対する法人税額が一八、七七一、七〇〇円であるのにかかわらず、昭和四〇年三月一日東京都中央区日本橋堀留町二丁目五番地所在の所轄日本橋税務署において、同税務署長に対し、所得金額は九、六八六、八四〇円でこれに対する法人税額は三、四四八、二四〇円である旨虚偽の確定申告書を提出し、もつて被告会社の右事業年度の正規の法人税額と申告税額との差額一五、二五三、四六〇円を免れ
第二 昭和四〇年一月一日より同四〇年一二月三一日までの事業年度において、被告会社の実際所得金額が九三、六六四、三三五円でこれに対する法人税額が三二、〇二七、四七〇円であるのにかかわらず、昭和四一年二月二八日前記所轄日本橋税務署において、同税務署長に対し、所得金額は六九、〇三三、三二九円でこれに対する法人税額は二二、七八一、二一〇円である旨虚偽の確定申告書を提出し、もつて被告会社の右事業年度の正規の法人税額と申告税額との差額九、二四六、二六〇円を免れ
たものである。
(判示各事業年度における実際所得金額の算定については、別紙第一、第二の修正貸借対照表のとおりである。)
(証拠の標目)
一、被告人の当公判廷における供述
一、同被告人の検察官に対する供述調書二通
一、被告会社に対する登記簿謄本
一、被告会社代表取締役福岡勇作成の定款写
一、大蔵事務官伊蔵庸治作成の証明書
一、福岡勇、関根正紀、小沢準、片野虎之助(三通)、峯元錬太郎の検察官に対する各供述調書
一、田沼久次郎の大蔵事務官に対する質問てん末書
一、大蔵事務官岩沼恒雄作成の法人税額計算書二通および調査書
一、浅沼英二作成の上申書
一、押収にかかる以下の証拠物件(昭和四三年押第六一一号、以下末尾の数字は同号の符号番号を示す。)
イ、法人税確定申告書三綴(1、2、3)
ロ、経費帳一冊(4)
ハ、勘定元帖一冊(5)
ニ、決算棚卸表四綴(7、8、9、10)
ホ、棚卸高表(11)
ヘ、法人税等申告書二綴(12、13)
(法令の適用)
被告会社ならびに被告人中村達夫の判示第一の所為は、昭和四〇年法律第三四号附則一九条によりその改正前の法人税法四八条一項(被告会社につきさらに同法五一条一項)に、第二の所為は、昭和四〇年法律第三四号法人税法一五九条一項(被告会社につきさらに同法一六四条一項)に各該当するところ、右は刑法四五条前段の併合罪であるので、被告会社については、同法四八条二項により所定罰金を合算した金額の、被告人については所定刑中懲役刑を選択したうえ、同法四七条一〇条により犯情の重いと認める判示第一の罪の刑に法定の加重をした刑期の各範囲内において、被告会社を罰金七〇〇万円に、被告人を懲役四月に処し、被告人に対し、刑法二五条一項を適用して、本裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予する。
よつて主文のとおり判決する。
(裁判官 小島建彦)
別紙第一
修正貸借対照表
日米ブラインド工業株式会社
昭和39年12月31日
<省略>
別紙第二
修正貸借対照表
日米ブラインド工業株式会社
昭和40年12月31日
<省略>